ベトナムの冷蔵業界は急速に成長しており、Cushman & Wakefieldによると、2025年までに2億9500万米ドルに達し、年率12%で成長する見込みです。しかし、この分野には依然として未開拓のポテンシャルがあります。現在、ベトナムには約70万パレットの容量を持つ48の冷蔵倉庫しか存在しておらず、供給業者の不足が示唆されています。さらに、国内の食品製造業者のうち、冷蔵チェーンシステムを利用しているのはわずか8.2%に過ぎませんが、輸出製造業者は2020年に66.7%を占めています。

冷蔵倉庫は、冷蔵チェーンの重要な一部であり、製品を適切な低温で保存するために正確な気候条件と維持管理を提供します。冷凍保存、冷蔵保存、冷却保存の3種類の冷蔵施設があり、それぞれ異なる温度範囲を提供しています。

食品、飲料、医薬品、化学製品、植物、花などは、常温で保存すると劣化しやすいため、冷蔵保存が必要な商品です。第三者物流会社、冷蔵物流の専門業者、スーパーマーケットチェーンが典型的な冷蔵倉庫のテナントです。

ベトナムでは、冷蔵業界は商業冷蔵と自己運営冷蔵に分けられます。地理的には、冷蔵施設は産業団地、川、港湾に近いクラスターに集中しています。南部地域、特にロンアン省は、ホーチミン市やメコンデルタの農業生産に近いため、国内の冷蔵供給の大部分を占めています。北部地域もその容量を拡大しており、2015年の26,750パレットから2018年には71,750パレットに達しています。

ベトナムの冷蔵業界は多くの機会を提供しています。パンデミックや医薬品の進展により、医薬品やワクチンの輸出入が増加し、業界の成長に寄与しています。Eコマースと食品配送の急速な拡大も、冷蔵市場に大きな影響を与えています。中間層の拡大と高い可処分所得、さらに輸出貿易協定の改善が、オーガニック食品やベトナムの海産物の需要を高めると予想されています。

しかし、業界は投資家にとっていくつかの課題を抱えています。冷蔵倉庫の建設と維持には、専門設備、定期的な検査、高い電力消費などを考慮すると、初期投資が相当な規模になります。また、従来の倉庫に比べて建設期間も長く、賃貸契約は通常15〜20年の期間となるため、供給の制約が強調されます。

農業など特定の産業向けの倉庫管理は冷蔵業者にとって課題となります。農産物の季節性に対応し、変動する需要に応じてスペースの利用を最適化するためには、効果的な計画と運営が求められます。

投資家は、新規投資プロジェクトや合併・買収を通じて、ベトナムの冷蔵業界に参入できます。市場に早期に参入することで、より高い資本収益を得ることができます。課題はあるものの、高い賃貸料を考慮すると、冷蔵倉庫への投資は魅力的です。既存の倉庫を冷蔵施設に転用することは、投資家や不動産所有者にとって賃貸費用の違いを活用する実行可能な選択肢となります。

ベトナムの冷蔵業界は、地域の先進市場に比べて比較的新しく断片化されていますが、需要の増加と投資の成長はその拡大の可能性を示しています。中小企業経営者は、この分野の高い成長潜力と新たな市場機会を活かすために、参入の機会を検討すべきです。