通達32/2025/TT-BTC号の主な改正点について
- (税務管理法、政令123/2020/NĐ-CP号および政令70/2025/NĐ-CP号に基づくインボイス・証憑に関する一部規定の実施細則)
2025年5月31日、財務省は通達32/2025/TT-BTC号を公布し、税務管理法と関連政令(政令123/2020/NĐ-CP号と政令70/2025/NĐ-CP号)に基づくインボイス・証憑に関する一部の規定について実施細則を定めた。本通達は2025年6月1日より施行される。
本通達に主な改正点は以下の通りである。
- 電子インボイス作成に関する委任権限の拡大
個人事業主と自営業者は、第三者に対して電子インボイスの作成を委任することが可能となった。この場合、受任者(第三者)は、委任者(販売者)との関連当事者である必要はない。ただし、当該委任には文書による契約の締結と税務当局への通知が必要とされる。 - インボイスの様式番号・記号に関する規定の追加
1 電子インボイスの種類を示す様式番号として、新たに「7」「8」「9」の番号を追加する。
番号7:電子商取引におけるインボイスを反映するもの
番号8:VATインボイスと税・手数料・料金の領収書が一体化されたもの
番号9:販売インボイスと税・手数料・料金の領収書が一体化されたもの
- 電子商取引インボイスの種別を示す記号の追加
電子商取引インボイスに対しては、識別記号として「X」の文字を使用する。
- 特殊な取引形態に電子インボイスの適用
- 大量かつ頻繁に発生し、取引データの照合に一定の時間を要する取引については、インボイス発行のタイミングに関する特別規定が適用される。該当する取引には以下が含まれる。
・デリバティブ(金融派生商品)取引
・業務用給食サービスの提供
・商品取引所にサービス提供 - ファイナンス・リース(リース取引)に係るインボイスの作成方法についても新たに指針が示されている。
- VAT還付申告を兼ねたインボイス様式について
VATの還付申告を兼ねたインボイスの様式は、以下の3部構成となっている。
A欄:還付対象の物品を販売する企業が作成する部分
B欄:税関当局が作成し、インボイス・還付申告書、物品内容、外国人旅行者に対するVAT還付額の確認結果を記載する部分
C欄:還付手続を代行する商業銀行が作成する部分
➞本様式は、通達第32/2025/TT-BTC号において初めて導入された新様式である。
- POSレジ発行型電子インボイスの適用業種
- 企業が複数の業種にわたって事業を営む場合、POS(販売時点情報管理)レジから生成される電子インボイスの使用登録は、以下のように消費者向け販売・サービス提供活動に対して適用する。
・商業センター、スーパーマーケット、小売業(自動車、バイク、その他のエンジン付き車両の販売は除く)
・飲食、レストラン、ホテル業
・旅客輸送サービス、陸上輸送の直接支援サービス、芸術活動、娯楽・遊戯サービス、映画上映サービス、その他個人向けサービス(ベトナムの産業分類システムに基づく)
・一方、それ以外の事業活動には、税務当局が発行するコード付き電子インボイスまたはコードなし電子インボイスのいずれかを登録して使用することができる。
- 電子インボイスの使用登録に「高リスク納税者」の判定基準
財務省は、電子インボイスの使用登録に税務上のリスクが高いと判断される納税者を特定するための基準を初めて明確に規定した。以下のとおり5つの主な基準が設けられている。
基準1
納税者の所有者または法定代理人、個人事業主の代表、私企業の経営者が、他の事業体でも同様の立場にあり、かつ税務当局のデータベース上でインボイスの売買や詐欺行為に関する国家機関の結論が存在する場合
基準2
納税者の所有者または法定代理人などが、マネーロンダリング防止法に基づく疑わしい取引リストに掲載されている場合
基準3
納税者が以下のような不適切な事業所所在地を登録している場合
・行政区画に従った明確な住所が存在しない本店所在地を登録している。
・法的に認められていない住居専用マンションに事業所を設置している。
・本店/支店が所在する省・市とは異なる地域での事業活動を行っている。
基準4
納税者の法定代理人や所有者が、以下のいずれかの状態にある他の納税者でも代表/所有者として登録されている場合
・「事業停止中だが、税コードの抹消手続きを未完了」
・「登録された住所に事業活動実態が確認できない」
または、財務省のガイドラインに基づき、税務・インボイス・証憑等に関する法令違反歴がある場合
基準5
その他、税務当局が独自にリスクがあると判断し、通知および説明要求を行った場合
- 2025年6月1日以降の個人所得税(PIT)源泉徴収証明書の使用に関するガイダンス
2025年6月1日より、個人所得税の源泉徴収を行う機関は、従来の規定に基づいて発行していた電子形式の源泉徴収証明書の使用を中止し、政令70/2025/NĐ-CP号の規定に従った新様式の電子証明書へ移行しなければならない。
- レジ(POS)端末から発行する電子インボイスの使用が義務付けられないケース
2025年6月1日以前に、商業センター、スーパーマーケット、レストラン、ホテル、旅客運送、娯楽サービス等の一般消費者向けの販売・サービス提供活動に、税務当局のコード付きまたはコードなし電子インボイスの使用をすでに登録している企業は、以下のいずれかの選択が可能である。
- 政令70/2025/NĐ-CP号に基づき、POSレジ端末から発行する電子インボイスへの移行を選択する。
- または、これまでに税務当局へ登録済みの電子インボイス方式を引き続き使用する。
- 2025年6月1日以前に作成された誤記インボイスの処理に関する指針
企業、組織、個人事業主が、政令123/2020/NĐ-CP号(政令70/2025/NĐ-CP号により修正・補足)および本通達の規定に基づいて電子インボイスを使用している期間中に、政令51/2010/NĐ-CP号(2010年5月14日付)、政令04/2014/NĐ-CP号(2014年1月17日付)および財務省の関連文書に従って作成されたインボイスに誤りがあることを発見した場合、以下の処理が必要である。
- 売り手および買い手は、誤記内容を明記した合意書(書面)を作成し、誤ったインボイスに代わる新たな電子インボイス(税務当局のコード付きまたはコードなし)を発行する必要がある。
- 新たに発行する電子インボイスには、「○○年○月○日付、フォーム記号○○、シリアル番号○○のインボイスの代替である」旨の記載が必要である。
- 電子署名の方法
・税務当局のコードなし電子インボイスを使用する場合は、売り手が電子署名を行い、買い手に送付する。
・税務当局のコード付き電子インボイスを使用する場合は、売り手が税務当局に送付し、コードを取得したうえで、買い手に送付する。